賃貸併用住宅の取扱い

賃貸併用住宅の取扱い

こんにちわ。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しています税理士の清水です。
今回のコラムでは、「賃貸併用住宅の取扱い」についてご説明致します。

相続対策の一環としてハウスメーカーが賃貸併用住宅の建築を提案する場合がありますが、賃貸併用住宅は、自宅単独又はアパート単独で建築した場合と比較して、毎年の所得税の確定申告、固定資産税の金額、相続時の取扱い、売却時の取扱いがどのように異なってくるのかについてご説明致します。

毎年の確定申告時の取扱い

経費の按分作業が必要

建物一棟全体をアパートとして賃貸している場合、その建物や土地に係る固定資産税、水道光熱費、修繕費、また、借入をして建物を建てた場合には借入利息の全額を必要経費として取扱うことが出来ます。
それに対して、賃貸併用住宅の場合、一棟の建物のうち、一部を自宅として利用し、残りの部分を賃貸用として利用している為、固定資産税等の経費は、全額を必要経費として取り扱うことが出来ず、利用状況に応じて、それらの経費を自宅部分と賃貸部分に按分する作業が必要となります。
具体的には、建物の延床面積等の合理的な基準に応じて、固定資産税等の経費を、必要経費部分と家事費部分に按分して、必要経費部分の金額を所得税の経費として取り扱うこととなります。

固定資産税の取扱い

住宅用地の特例を有効に活用できる

固定資産税には、土地を住宅用地として利用している場合、固定資産税を計算する基となる課税標準額を200㎡部分までを6分の1とし、200㎡を超える部分については3分の1とすることが出来る特例があります。そして、この特例は、独立した家屋又は独立した部屋の数に応じて適用を受けることが出来ます。
少しわかりづらいので具体例で説明致します。

EX:1

土地900㎡の上に自宅のみが建築されている場合

土地200㎡部分までは6分の1の適用を受け、200㎡を超える部分は3分の1の適用を受ける

EX:2

土地900㎡の上に自宅と貸家(2戸)が建築されている場合

土地900㎡の内、600㎡部分(200㎡×3戸分)までは6分の1の適用を受け、600㎡を超える部分は3分の1の適用を受ける※
※900㎡の土地の上に独立した家屋が3戸建築されている為、1戸辺りの土地の使用面積は300㎡となる。ここで、6分の1の特例は、1戸ずつ適用を受けることが出来る為、200㎡×3戸=600㎡部分が6分の1の特例を受けることが出来る。
つまり、土地の面積が200㎡を超えている場合、自宅以外に賃貸用アパートを建築することにより、固定資産税の住宅用地の特例を効果的に活用できることとなります。

相続時の取扱い

賃貸部分は、小規模宅地の居住用の特例が適用できない

相続税の特例として、被相続人が相続開始直前まで居住用として利用している土地は、評価額の8割を減額(面積要件あり)することが出来るという小規模宅地の特例制度があります。ただし、賃貸併用住宅については、土地を「居住用」と「賃貸用」の両方の用途で利用している為、居住用部分の土地についてのみ8割減額の適用を受けることとなりますので、自宅のみで利用している場合と比較して、小規模宅地の特例を効果的に適用出来ない場合がありますので、賃貸併用住宅の建築時には相続税に与える影響を確認の上、建築されることをお勧めいたします。

売却時の取扱い

賃貸部分は、居住用の特例の適用を受けることが出来ない

居住用不動産を売却した場合の特例として、「3,000万円控除」、「10年超所有の軽減税率適用」、「買換え特例」があります。
ただし、これらの特例は、あくまで「居住用」不動産を売却した場合の特例であって、「賃貸用」不動産を売却した場合には、特例の適用を受けることが出来ません。
従って、賃貸併用住宅として利用していた不動産を売却した場合で、居住用不動産の売却特例を受けようとするときは、土地・建物の売却金額を「居住用部分」と「賃貸用部分」に按分し、居住用部分の売却金額にのみ居住用の特例を受けることとなりますので、全体を居住用として利用している場合と比較して、かなり不利な取扱いになる場合がありますので、注意が必要です。

 

イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

執筆日:平成28年11月14日
※上記コラムの内容は執筆日現在の法令に基づいて記載されたものですので、その後の改正等により法律が変更されることがありますので、ご注意下さい。

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