贈与税申告

贈与税申告

二種類の贈与税申告

税法上、贈与税の申告方法は二種類あります。一つは、「暦年贈与」という贈与申告で、もう一つは「相続時精算課税贈与」とう贈与申告です。各々の申告方法には、メリット・デメリットがありますので、それらの特徴をご説明致します。なお、どちらの申告方法を適用すればよいのかというのは、贈与者の年齢、贈与する財産の金額、贈与者の相続財産の金額、そして贈与をする目的等によって異なってきますので、どちらの申告方法を適用するかについては、慎重に判断をする必要があります。

暦年贈与相続時精算課税贈与
(相続税と贈与税の一体課税)
贈与者
  • 誰でもOK
  • 60歳以上の親及び祖父母
受贈者
  • 誰でもOK
  • 20歳以上の子及び孫
控除額
  • 毎年110万円
  • 累計2,500万円
税率
  • 10%から55%の8段階の超過累進税率
  • 一律20%
贈与者の相続時
  • 原則、足し戻さない
  • 贈与財産を贈与時の価額で相続財産に合算して相続税を計算する
メリット
  • 誰にでも贈与できるため、相続財産を減らすことが容易にできる
  • 多額の資産を生前に贈与しやすい
デメリット
  • 税率が高いため、一度に多額の資産を贈与することが難しい
  • 相続税の節税にはならない

贈与時に気をつけなければならない民法上の法的性質

「諾成契約」という性質

「贈与」という行為は、民法で定める典型契約の1つであり、民法549条に定められています。また、贈与という法律行為は、「無償契約」、「片務契約」、「諾成契約」という性質を持っており、税務的には、この「諾成契約」という性質が最も重要となります。「諾成契約」というのは、贈与をする人が、「あげました」、そして、贈与を受ける人が、「貰いました」とお互い意思表示をする事によって、初めて成立する法律行為です。つまり、贈与を受ける人が、「贈与を受けた認識がない」「いつ、誰から、何をもらったかを認識していない」という状況では、例え、贈与をする人が「贈与をしたつもり」でも、それは、民法上「贈与が成立していない」ということになり、税法上も、贈与はなかったものとして取り扱われます。
よって、相続税対策として、長年せっせと子供や孫名義の通帳にお金を移して、それに伴い、贈与税申告をしていたとしても、そもそも民法上、「贈与行為」が成立していなければ、税法上も贈与が認められませんので、注意が必要です。

贈与税の各種特例

税法上の贈与には、各種特例があり、要件を満たしていれば、その金額の範囲内であれば贈与税がかからない(非課税)という制度がありますので、それらの制度の概要をご説明致します。
贈与する人(贈与者)と贈与を受ける人(受贈者)にそれぞれ要件がありますので、それぞれの要件を満たしていれば、是非、贈与の特例の活用をご検討ください。

1.贈与税の配偶者控除

対象者婚姻期間が20年以上の夫婦間
対象物居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭
非課税額2,000万円
注意点同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けることが出来ない

2.住宅取得等資金の非課税の特例

対象者贈与者の子や孫(20歳以上の直系卑属であること)
対象物住宅を取得するための金銭
非課税額住宅取得の契約年により非課税金額が異なる
例えば、平成28年1月に長期優良住宅を取得した場合は1,200万円
適用期間平成27年1月1日~平成31年6月30日
注意点受贈者の合計所得金額が2,000万円を超えている年は適用を受けることが出来ない

3.教育資金の非課税の特例

対象者贈与者の子や孫(30歳未満の直系尊属であること)
対象物教育資金として使われる一定の金額
非課税額1,500万円
適用期間平成25年4月1日~平成31年3月31日
注意点受贈者が30歳に達した時点で贈与を受けた教育資金が残っている場合、又は受贈者が30歳より前に死亡し、その時点で贈与を受けた教育資金が残っている場合には、残額をその時点で贈与により取得したものとみなす
なお、結婚資金の非課税規定と異なり、贈与者に相続が発生した場合でも、相続発生時点での残額を相続財産に加算するなどの取扱いはない

4.結婚資金の非課税の特例

対象者贈与者の子や孫(20歳以上50歳未満の直系尊属であること)
対象物子育て・結婚資金として使われる一定の金額
非課税額1,000万円
適用期間平成27年4月1日~平成31年3月31日
注意点受贈者が50歳に達した時点で贈与を受けた結婚資金が残っている場合には、残額をその時点で贈与により取得したものとみなす
なお、贈与者に相続が発生した場合、相続発生時点での残額を相続財産に加算して、相続税の計算を行うこととなる

効果的な相続税対策となる贈与とは

相続税対策として贈与を行う際、「いつ」、「誰に」、「何を」、「いくら」、「どうやって」贈与するかを検討しなければなりません。これらの論点を全く検討せずに、ただやみくもに贈与を行ってしまうと、結果として、効果的な相続税対策につながらないといった事態に陥ってしまいますので、くれぐれも注意が必要です。
なお、「いつ」、「誰に」、「何を」、「いくら」、「どうやって」贈与した方が良いのかというのは、「贈与者の年齢」、「贈与者の相続財産の金額」、「相続人の数」、「贈与者の財産の種類や内容」といった様々な要素を加味しながら検討していく必要がありますので、贈与を検討されている方は、相続・不動産税務専門のイナリ税理士事務所にお気軽にご相談下さい。

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