同族法人に建物を売却する際の価額

こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水と申します。今回のコラムでは、「同族法人に建物を売却する際の価額」についてご説明致します。

賃貸用不動産をお持ちの方が資産管理会社を設立した際、ご自身が所有している賃貸用不動産の建物のみを法人に売却することを検討されるかと思います。その際、同族法人に建物をいくらで売却すればよいのか、特に耐用年数が経過して減価償却が終わり、帳簿価額が1円の建物を1円で売却しても問題は生じないのかという疑問が生じます。
本コラムでは、このような「同族法人に建物を売却する際の価額」についてご説明させて頂きます。

原則的な考え方 

個人が法人に建物を売却する際、原則的には、その建物を「時価」で売却する必要があります。仮に時価より低い金額で売却してしまうと、法人側で、時価と売却金額との差額に対して受贈益課税がされてしまいます。従って、売却する際には、「時価」で譲渡するのが望ましいのですが、そもそも建物の「時価」をどのように把握すべきなのでしょうか。

税務上の時価 

税務上の建物の時価は「未償却残高」、つまり売却時の帳簿価額を時価とみなすことが出来ます。従って、償却不足がないという前提でお話させて頂くと、売却時の帳簿価額で法人に売却すれば、税務上は特に問題が生じないということになります。例えば、譲渡側である個人においても譲渡所得税は発生しませんし、譲受側である法人においても、受贈益課税などは発生しないということになります。

参考条文

個別通達「負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び建物等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について」、財産評価基本通達185(純資産価額)及び法人税法基本通達9-1-19(減価償却資産の時価)において、取得価額から売却時までの償却費を控除した金額を時価とした場合はこれを認める旨の記載があります。

帳簿価額が1円の場合 

では、耐用年数が経過してしまい、帳簿価額が1円の賃貸用不動産を法人に1円で売却しても税務上の問題は生じないのかというと、それについては疑義が生じます。例えば、第三者に対して、帳簿価額が1円だからと言って年間数百万円程度発生する建物を1円で売却するかというと、そんなことは絶対に行いませんよね。税務は、第三者間において通常行わないような取引については、所得や利益が移転したとして課税関係が生じます。
それでは、帳簿価額が1円の建物については、どのような金額を指標にして法人に売却すればよいのかというと、指標とすべき金額は、その建物の「固定資産税評価額」となります。平成24年8月16日の裁決において、「本件建物等のように本件再建築見積価額等に基づき適正な価額が算出できない場合には、固定資産税評価額をもって適正な価額とすることにも合理性があると認められる」とあり、帳簿価額がその建物の時価を適正に反映しないケース、具体的には帳簿価額が固定資産税評価額を下回っているケースにおいては、固定資産税評価額を建物の時価とすることについての合理性を認めています。

まとめ

個人が法人に建物を売却する場合は、次のケースのいずれに該当するかを確認し、それぞれの金額を売却時の時価の指標として売却金額を設定するのが一つの方法と考えられます。

帳簿価額 > 固定資産税評価額 のケース

帳簿価額を指標に時価を決定する。

帳簿価額 < 固定資産税評価額 のケース

固定資産税評価額を指標に時価を決定する。

 

イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら是非、初回無料相談をご活用頂ければと思います。

執筆日:平成30年10月1日
※上記コラムの内容は執筆日現在の法令に基づいて記載されたものですので、その後の改正等により法律が変更されることがありますので、ご注意下さい。

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