分割が確定しない不動産を売却した場合

分割が確定しない不動産を売却した場合

こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水と申します。今回のコラムでは「分割が確定していない不動産を売却した場合」についてご説明致します。
相続により不動産を取得した相続人が、分割が確定していない不動産を遺産分割審判等に基づき売却し、売却後にその不動産の売却代金の取得割合が確定した場合、税務の取扱いはどうなるのかという疑問が生じます。
本コラムでは、「分割が確定していない不動産を売却した場合」の税務の取扱いについてご説明させて頂きます。

譲渡所得税の申告期限までに取得割合が確定する場合 

不動産売却時に不動産の売却代金の取得割合が確定していない場合において、譲渡所得税の確定申告期限(翌年の3月15日)までに、その売却代金の取得割合が確定したときは、その売却代金の取得割合に応じて、不動産を取得したものして譲渡所得税の申告を行い、その取得割合に応じた譲渡所得税を納付することになります。

譲渡所得税の申告期限までに取得割合が確定しない場合 

法定相続分により申告

不動産売却時に不動産の売却代金の取得割合が確定していない場合で、譲渡所得税の確定申告期限(翌年の3月15日)までにも、その売却代金の取得割合が確定していないときは、法定相続分に応じて取得してものとみなして、譲渡所得税の申告を行い、法定相続分に応じた譲渡所得税を納付することになります。

譲渡所得税の申告後に法定相続分と異なる割合で売却代金の分割が確定した場合

上記の場合において、譲渡所得税の申告後に、法定相続分と異なる割合で売却代金を取得することになったとしても、その取得割合に応じた更正の請求及び修正申告を行うことは出来ません。つまり、申告時は法定相続分により取得したものとみなして譲渡所得税を納税した者が、その後の遺産分割により換価代金を全く取得しないことになったとしても、更正の請求をして譲渡所得税の還付を受けることが出来ないという事になります。
従って、申告期限までに分割が確定しない場合は、その後、更正の請求及び修正申告が出来ないという事を念頭に申告をする必要があります。

 

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最終更新日:令和5年6月1日 
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