財務コラム

短期借入と長期借入の違いについて

…それぞれの特徴と審査のポイントを解説します。

借入には1年以内に返済期日が到来する短期借入と、返済期日が1年を超える長期借入があります。
売上金の回収期間が仕入の支払期間より長い場合に発生する経常運転資金は、回収サイトに合わせて短期借入で調達するのが一般的でしたが、近年は長期運転資金として調達するのが一般的になっています。

短期借入と長期借入の違い

短期借入と長期借入は、融資審査において、評価ポイントが変わってきます。短期借入の場合、返済できるかどうかは売掛金で判断し、長期借入の場合、返済できるかどうかは利益と減価償却費で判断しています。

モノやサービスは売れたが、代金の回収までに時間を要する場合、その間の収支ギャップを埋めるために利用するのが短期借入です。短期借入の返済は、回収した売上代金で行いますので、たとえ赤字であっても、回収確実な売掛金があれば、短期借入で調達出来る可能性は十分に考えられます。

一方、長期借入の返済原資は利益と減価償却費です。たとえ回収確実な売掛金があっても、赤字、かつ将来も利益が出る見込みがない場合は、返済原資がないため長期借入は原則困難です。

短期借入と長期借入のメリット・デメリット

期日一括返済の短期借入は、業況が安定していれば基本的に期日は延長されます。借りっぱなしで返済をしなくてよいため、資金繰りが安定しやすいというメリットがあります。しかし、期日に期限を延長してもらえなかった場合は、まとまった返済資金を一括で用意しなくてはならないリスクもあります。

期運転資金は毎月一定の返済を行うため、計画的に返済をしていくことが可能です。しかし、1,000万円の収支ギャップを埋めるために1,000万円の借入をしても、約定返済分は資金が不足しますので、実際に必要な金額よりも余分に借りなくてはならないというデメリットがあります。

短期と長期どちらで調達を行うべきか

資金繰りの観点から考えると、毎月発生する収支ギャップ(経常運転資金)は約定返済のない短期借入で調達すると、利益を返済に回さずに済むため資金繰りは安定します。投資回収に長い年月を要する設備資金や、更なる売上拡大に挑戦するための増加運転資金は、投資効果に合わせて少しずつ返済を進めた方が資金繰りは安定します。

短期借入と長期借入は単に返済期間が違うというだけでなく、融資審査のポイントも違うことをご理解いただいたと思います。 そうであれば、短期借入を申し込む場合と、長期借入を申し込む場合で、金融機関に提出する計画書の訴求ポイントも変えなくてはなりません。

金融機関の考え方を理解し、金融機関が評価するポイントをしっかり押さえた書面を作成することが、資金調達をより確実にします。