経営コラム

make a change!

…自動車メーカーが自動車を作る会社でなくなる時!

自動運転やライドシェアの進展によって、近未来の車の販売台数は激減するはずです。
英金融大手のバークレイズは、米国の新車販売市場は40年までに4割縮むとの予測を示しています。
車を個人で所有するのではなく、共有されるとなると、これまでの車の概念が大きく変わります。
また、年間販売台数1,000万台を超えるトヨタ自動車の時価総額22兆円に対して、高々数十万台しか販売していないテスラモーターの時価総額が5兆円、電気自動車の隆盛と、内燃機関の没落を象徴しています。
個人所有のパーソナル市場で台数を稼ぎ、複雑難解なエンジンの開発・生産力と、数万点以上にも及ぶ部品の調達とアッセンブリ―能力で、圧倒的な参入障壁を維持できた自動車メーカーにも暗雲が立ち込めています。

トヨタ自動車の豊田社長は、「私たちの競争相手はもはや自動車会社だけではなく、グーグルやアップル、フェイスブックのような会社もライバルになってくる」「様々なコネクティッドサービスに必要な、モビリティサービスプラットフォームをつくる会社になる」と明言されています。
トヨタ自動車ですら、全く新しいビジネスモデルの創造を強いられています。早期に実現できなければ、エクセレントカンパニーからただの大企業に転落するのでしょう。
『make a change』、変化に対応しなければ我々も存在意義を無くします。最も重要な経営者の仕事、いや、経営者の唯一の仕事は、数十年後にも隆々と事業を営めるように事業を変化させる、そのために学び、行動すること以外にありません。

経営を変えるための5つの切り口!

事業立地・ビジネスの型・集中度合い・値決め・ナンバーワン発想!を変える。

1.事業立地(ポジショニング)を変える!

一にも二にもこれが重要です。

『…覚えておきたいのは、「一にも、二にも、三にも人」ではない。一貫してうまくいく有効な解答は、「一にも、二にも、三にも(事業の)ポジショニング」だ。…』
〔リチャード・コッチ氏(大成功を納めた投資家)〕

『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は一目瞭然だった。「事業立地(ポジショニング)」がよいということだ。仕事の仕方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」の選び方が優れている。…』
〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

繰り返しご紹介していますが、上記のメッセージは心に留め置いていただきたい内容です。レッドオーシャンのど真中に立っているなら、立ち位置をずらしてブルーオーシャンを狙うべきです。この事業の立ち位置、事業立地を確認してください。事業立地を変えることは、事業自体を変えるための最も重要な要素です。

2.ビジネスの型を見直す!

経営の幅(商品・サービスや販売拠点等)が伸びきったストアー型(総合型)のビジネスは総じて苦戦しています。成熟社会の日本では厳しいようです。脱・ストアー型、プロダクト型(集中型)からプラットフォーム型を狙う流れが主流です。強いプロダクトに仕上げた上で、プラットフォームの構築を目指してください。ビジネスの型を変えることは、事業自体を変えるための最も重要な要素のひとつです。

3.集中するために絞り込む!

経営資源が分散していないかの検証も必要です。絞るから強くなる、絞ることがすべての起点になります。ビジネスの型そのものだけでなく、ありとあらゆるものを絞り込むことで集中する、この発想が重要です。絞り込むと事業自体が変わります。

4.高付加価値を狙う!

売上至上主義からの脱却が必要です。必要なのは粗利益であって売上ではありません。繁盛貧乏の原因は過度な売上至上主義です。「薄利な売上ほど邪魔なモノはない。」、「価格を売るための道具に使わない。」この発想を持ってください。高付加価値化を図ることで、その事業の立ち位置、生きる世界を変えられます。

5.ナンバーワンよりオンリーワン、アッパーニッチ戦略を!

今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小さすぎて大手が参入しにくいモノを対象とするビジネスは前途洋洋です。ナンバーワンは、競争に勝って一番になることです。
オンリーワンは、競争せずに一番(?)になることです。競争しないためには、他人・他社と違うこと、世の中にないことを行うことです。お金・人・モノ、これらの経営資源の乏しい会社こそ、競争しない経営を心掛けるべきではないでしょうか。
小規模零細企業、または、これから独立開業される方こそ、この発想が重要です。
誰もが腰を抜かすような、画期的な商品やサービスを開発するに越したことはありませんが、容易ではありません。いきなりこのようなことができる会社・社長は稀有です。そうではなく、今取り組んでいる事業の、ほんの少し目先を変えて、どこにもないモノ・コトを開発しましょう。ナンバーワンを狙わずにオンリーワンを目指すことで、経営の目標が大きく変わるはずです。
『make a change!』に挑戦してください。