財務コラム

中小企業における銀行対応の指針

…銀行は成長拡大期に最も頼れるパートナーです。

銀行は社会的に大きな役割を期待されており、時には批判の対象になることもあります。
しかし、銀行と実際にお付き合いをしなくてはならない経営者にとっては、銀行がどうあるべきかと議論するよりも、今ある銀行をどう 活用すべきかと考える方が建設的です。
自社にとっての銀行の位置づけを明確にすることで、銀行対応の指針も明確になります。

銀行は救済機関ではありません。

「銀行は業績が悪化して困っている企業にお金を貸すのが仕事でしょう。」とおっしゃる経営者様も少なくありません。確かにそのような役割も期待したいところですが、行政ではありませんので実際は違います。困ったときに助けを求める救済機関ではないと明確に位置づけ、平時からしっかりとお付き合いをすることを指針としましょう。

銀行は新規事業のパートナーではありません。

「新しい商品を開発するための資金を銀行が出してくれない。」とおっしゃる経営者様も少なくありません。銀行は新規事業への取り組みも行ってはいますが、おっしゃる通り現時点では不十分です。売れるかどうか分からない新規事業への融資はリスクが高いため、今後も対応が早急に改善するとは考えにくいです。世の中にない革新的な新規事業を思いついた時、銀行はアイデア段階では事業パートナーにはなりえないと位置付けましょう。まずは自己資金や公的な金融機関を利用してサンプルの製作とテスト販売を行い、顧客ニーズがあることを最低限確認したうえで、量産するための資金を相談するようにしましょう。

事業拡大資金を提供してくれるパートナーです。

「銀行は実績ばかり言ってくるが、そもそも実績があったらお金はもう必要ない・・・」とおっしゃる経営者様も少なくありません。銀行と経営者がボタンを掛け違えるポイントです。経営者様の多くは、「資金繰りが苦しい時や新規事業のために仕方なく融資を利用するが、事業が軌道に乗ったら融資は返すもの。」という基本認識があるようです。一方、銀行は、「一定の実績がある事業に対して、それをさらにスケールさせるための資金を提供するのが役割である。」と考えています。ゼロまたはマイナスを1にする資金ではなく、1を10にする資金です。

銀行対応は経営者として現実的に対処しなくてはなりません。
銀行は、資金繰り悪化や新規事業に取り組む際に頼るパートナーではなく、実績の出た事業をさらに拡大するための事業パートナーとして位置付けるのが正しいと考えます。