経営コラム

個人事業を法人化するメリットとデメリットを解説します

事業の成長などに合わせて、個人事業を法人化したいと考えていませんか。
メリットしかない印象ですが、実はデメリットもあります。個人事業の法人化はデメリットを踏まえたうえで検討を進めなければなりません。
メリット、デメリットを詳しく解説するので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

個人事業を法人化したときのメリット

個人事業の法人化には、以下のメリットがあります。

節税できる可能性がある

個人事業と法人では、所得(利益)に対して課される税金が異なります。
個人事業は所得税と住民税、法人は法人税が課されるのです。所得税と法人税では税率が異なります。
所得税の税率は、所得に比例して高くなります(税率:5%~45%の範囲内)。
住民税は、所得割(所得の10%)と市区町村により異なる均等割の合計額が税額となります。対する法人税の実効税率は29.74%です。
個人事業の所得によっては、法人化により節税できることがあります。具体的には、年間の所得が500万円を超える場合は、法人化により節税できるケースが多いと考えられています。

給与所得控除を受けられる

法人化すると、役員報酬に対し給与所得控除が適用されます。役員報酬から給与所得控除を差し引くことができるのです。もちろん、役員報酬は経費として売上から差し引けます。
給与所得控除額は以下の通りです。

給与などの収入額給与所得控除額
~1,625,000円550,000円
1,625,001円~1,800,000円収入金額×40%-100,000円
1,800,001円~3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円~6,600,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円~8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円~1,950,000円

法人化により、節税しやすくなるといえるでしょう。

信用力の向上

法人化により、信用力が向上する点も見逃せません。
取引先を法人に限定している企業と取引できるようになることや金融機関から融資を受けやすくなること、採用活動を行いやすくなることなどが考えられます。
法人化することで、事業の成長を加速できるかもしれません。

個人事業を法人化したときのデメリット

法人化を検討している方は、以下のデメリットにも注意が必要です。

赤字でも法人税を課される

法人化すると、赤字であっても法人住民税の均等割を課されます。税額は、年間7万円程度です。
個人事業の場合、赤字であれば所得税と住民税は課されません。

社会保険への加入を義務付けられる

法人化することで、社会保険への加入を義務付けられます。一定の保険料を負担しなければならないので、現在の状況によっては新たな負担が発生することになります。
どれくらいの社会保険料がかかるか調べたうえで、法人化を検討するほうがよいでしょう。

事務負担が増える

法人化すると、会計あるいは税務関係などの事務負担が増えます。新たに事務スタッフが必要になるケースもあります。また、専門的な知識がないと独力で税務申告などを行うことは難しいので、税理士や公認会計士に依頼するコストもかかります。

個人事業を法人化する前に税理士に相談

法人化にはメリットとデメリットがあります。これらをよく調べたうえで、納得できる選択をすることが重要です。十分な知識がないまま決断を下すと、様々なトラブルに見舞われる恐れがあります。
具体的なトラブルの内容は人により異なるので、まずは税理士に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
現在の状況を整理したうえで、どのように事業を進めていけばよいかアドバイスをしてくれます。それによって、納得できる選択を行いやすくなるはずです。