リスケジュール

リスケジュール

リスケジュールとは

ビジネスの現場において一般的に用いられるリスケジュールとは、「スケジュールを組みなおす」「予定を変更する」「計画を変更する」といった意味合いで用いられるケースが多いように思われますが、金融用語としてのリスケジュールは、「返済額の変更」を意味し、具体的には、毎月の約定返済額を一定期間減少させる(又はゼロにする)ことを指します。

例えば、1,200万円を5年で返済するという契約で借り入れをしている場合、1,200万円÷60ヵ月=20万円となり、毎月20万円の元本を返済(別途、利息を支払う必要があります)していくことになりますが、借入期間中に、資金繰りに窮するなどの理由でリスケジュールをした場合、一定期間中は、毎月の元本返済額20万円を減少してもらい、当面の資金がまわるようにします。しかし、リスケジュールは、一定期間返済を猶予してもらっているのであって、免除してもらったわけではありませんので、一定期間経過後は、約定通りに返済し、原則的には当初の決められた期間内に元本を全額返済する必要があります。

リスケジュールをする場合の注意点

銀行への提出書類

リスケジュールをする場合、金融機関に口頭のみでリスケジュールをお願いするのではなく、直近の試算表、資金繰り表、そして経営改善計画書を作成の上、リスケジュールの依頼をする必要があります。なお、経営改善計画書に記載する内容としては、会社概要、ビジネス俯瞰図、リスケジュールをしなければならない状況に至った理由や背景、それら窮境原因の分析、経営改善をしていく為の今後のアクションプラン、利益計画・資金計画、金融機関借入一覧表、担保一覧表といった内容を網羅しておく必要があります。

元本返済額

リスケジュールをする際に一番気を付けなければならないことは、リスケジュール中の元本返済額です。リスケジュール中の元本返済額は『ゼロ』で金融機関にお願いすることを強くお勧め致します。理由としては、リスケジュールをした場合、その期間中、新たにどこかの金融機関から資金調達をすることが出来なくなります。よって、リスケジュール中は、手元資金のみで仕入代金や人件費等経費関係の支払いをし続ける必要があります。そのような状況下で、大切な手元資金を借入金の元本返済に回すというのは、自分で自分の首を絞めているようなもので、さらに資金繰りが厳しいものになってしまいます。

社長様の中には、次回の融資が受けやすくなるのではないか、少しでも返済をしておかないと金融機関の心証が悪くなるのではないかという誤った考えから、リスケジュール中も一定額の元本返済を続けている会社がありますが、それは大きな間違いであり、約定返済額の半分を返済しようが、ゼロリスケとしようが、その後の資金調達には全く影響しません。大切なことは、前述の経営改善計画書に則り、一定期間内に正常化※に戻ることであり、正常化に戻ることが出来れば、リスケジュール中に元本返済を全く行っていなくても、十分新たな資金調達を行うことは可能です。

正常化とは、下記の要件の全てを満たす状況を言います。

  • 税引き後利益+減価償却費>0
  • 債務償還年数10年未満
  • 債務超過に陥っていないこと

正常化までの期間の目安

正常化するまでの期間、つまり、金融機関にリスケジュールをお願いできる期間は、一般的には5年を目途に考えておく必要があります。従って、前述の経営改善計画書の利益計画・資金計画では、5年間で当初の約定通りの返済が出来るキャッシュフローに回復する計画にしておく必要があります。仮に、正常化するまでの期間を3年間とした場合、かなり急激に業績が回復するといった数値計画にしなければ正常化に戻ることが出来ませんが、そもそもそのような短期間でそこまで業績が回復するのかといった疑念が生じますし、実際にもそこまで急激に業績が回復することは、現実問題難しいと思われます。反対に計画の期間を7年、10年とした場合、金融機関はそこまでの期間を待つことが出来ませんので、そこまで時間がかかるのであれば、現時点で解散して今返済できるものだけでも返済してくださいという事にもなりかねません。よって、正常化するまでの期間は5年で絵を描いて、経営改善計画書を作成する必要があります。