配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水です。今回のコラムでは、「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し」についてご説明致します。
平成29年度税制改正大綱において、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについての記載がありました。この配偶者控除の見直しですが、当初は、配偶者控除自体が現在の働き方に即した制度ではなく、もっと時代に即した制度に変更すべきであるといわれており、財務省主導で新たな「夫婦控除」の創設が検討されておりました。
しかしながら、最終的には、配偶者控除については本人の所得制限を設け、配偶者特別控除については、従前通り本人の所得制限を残しつつ、配偶者の所得要件を緩和し、より幅広い方が配偶者特別控除の適用を受けることが出来るように変更が予定されております。本コラムでは、この「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し」についてご説明させて頂きます。
配偶者控除の見直し
改正前の規定
適用要件
- 配偶者の所得金額が38万円以下
- 本人の所得要件なし
改正後の規定
適用要件
- 配偶者の所得金額が38万円以下
- 本人の所得金額に応じて控除額が逓減(所得金額1,000万円超で控除額がゼロ)
本人の合計所得金額 | 控除額 | |
控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
給与収入が1,220万円超の方は、改正前であれば配偶者控除38万円全額受けることができましたが、今回の改正により控除額がゼロとなり、適用されている税率が所得税23%、住民税10%と仮定すると、年額約12万円程度の増税となります。従って、配偶者控除単独で見れば、高所得者ほど増税色が強い改正といえます。
配偶者特別控除の見直し
改正前の規定
適用要件
- 配偶者の所得金額が38万円超76万円未満(給与収入:103万円超141万円未満)
- 本人の所得金額が1,000万円以下
改正後の規定
適用要件
- 配偶者の所得金額が38万円超123万円以下
- 本人の所得金額が1,000万円以下
ただし、本人の所得金額を900万円以下、950万円以下、1,000万円以下の3つに区分し、各区分に応じた控除額を設定
配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額一覧表
配偶者 控除 | 配偶者特別控除 | |||||||||
配偶者の所得金額 | ~38万 | ~85万 | ~90万 | ~95万 | ~100万 | ~105万 | ~110万 | ~115万 | ~120万 | ~123万 |
配偶者の給与収入ベース | ~103万 | ~150万 | ~155万 | ~160万 | ~166万 | ~175万 | ~183万 | ~190万 | ~197万 | ~201万 |
本人の所得 900万以下 | 38万 | 38万 | 36万 | 31万 | 26万 | 21万 | 16万 | 11万 | 6万 | 3万 |
本人の所得 950万以下 | 26万 | 26万 | 24万 | 21万 | 18万 | 14万 | 11万 | 8万 | 4万 | 2万 |
本人の所得 1,000万以下 | 13万 | 13万 | 12万 | 11万 | 9万 | 7万 | 6万 | 4万 | 2万 | 1万 |
上記表の見方ですが、
- 本人の所得金額を確認し、900万円以下、950万円以下、1,000万円以下のいずれの区分(紫の区分)に該当するかを決定します。
- 配偶者の所得金額(給与収入ベース)を確認し、いずれの区分(水色の区分)に該当するかを決定します。なお、配偶者の所得金額が38万円以下であれば配偶者控除の適用を受け、38万円超123万円以下であれば配偶者特別控除の適用を受けることとなります。
- 該当する区分の交差する箇所に記載されている金額が配偶者控除(又は配偶者特別控除)の控除額となります。
EX:本人の所得金額800万円、配偶者の給与収入185万円のケース
本人の所得金額が「900万以下」の区分で、配偶者の給与収入ベースが「~190万」の区分となるため、配偶者特別控除の適用となり、その控除額は11万になります。
適用時期
平成30年分以後の所得税から適用
イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
執筆日:平成29年1月1日
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