建物と土地の所有者が異なる自宅を売却した場合

建物と土地の所有者が異なる自宅を売却した場合

こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水です。今回のコラムでは、「建物と土地の所有者が異なる自宅を売却した場合」についてご説明致します。

自宅を購入する際、建物を夫が購入し、土地は妻が購入するといった購入の仕方をする方はいない為、建物と土地の所有者が異なるといったことにはならないのですが、相続の場合、家族の諸々の事情から、建物部分を配偶者が相続し、土地部分を子供が相続するといったケースはたまにみられます。このような場合、建物と土地の所有者が異なる為、自宅を売却した場合、居住用の特例はどのような取り扱いになるのかという疑問が生じます。
本コラムでは、上記のように建物と土地の所有者が異なる自宅を売却した場合の特例の可否についてご説明させて頂きます。

原則的な考え方 

居住用の3,000万円控除や長期所有の軽減税率といった居住用財産の譲渡の特例は、あくまで自宅である「建物」を売却した方に対して適用される規定である為、建物と土地の所有者が異なる場合には、原則的な考え方からすると、建物所有者のみに居住用の譲渡の特例が適用され、土地所有者には居住用の譲渡の特例が適用されないということになります。
しかしながら、土地所有者が建物の持ち分を持っていないという理由だけで、土地所有者に対して居住用の譲渡の特例が適用されないのは、課税の公平の見地からも望ましくないケースが生じるため、一定の要件を満たすことにより、土地所有者に対しても居住用の譲渡の特例が適用されることになります。

土地所有者に居住用の譲渡の特例が適用される場合

建物と土地の所有者が全く異なる場合 

建物所有者と土地所有者が全く異なる場合に自宅を売却したときは、次の要件を満たしていれば、建物所有者に係る譲渡所得金額が3,000万円に満たない場合に限り、その満たない金額を土地所有者の譲渡所得の金額の計算上、控除することができます
従って、建物所有者、土地所有者が各々3,000万円控除を適用できるわけではなく、建物所有者が使い切れなかった特別控除額を土地所有者で使うという事になります。

  1. その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと
  2. その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること
  3. その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること
    【措通35-4参照】

建物所有者が土地の一部を所有している場合 

建物所有者が土地持分の一部を所有している場合に自宅を売却したときは、上記の3つの要件を満たしていれば、建物所有者に係る譲渡所得金額が3,000万円に満たない場合に限り、その満たない金額を土地持分所有者の譲渡所得の金額の計算上、控除することができます
従って、「建物と土地の所有者が全く異なる場合」と同じように、建物所有者、土地持分所有者が各々3,000万円控除を適用できるわけではなく、建物所有者が使い切れなかった特別控除額を土地持分所有者で使うという事になります。

 

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執筆日:平成30年2月12日
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