平成21,22年に土地等を取得した方が不動産を売却した場合
こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水です。今回のコラムでは、「平成21,22年に土地等を取得した方が不動産を売却した場合」についてご説明致します。
平成21年度の税制改正により、平成21年及び平成22年に土地等を先行して取得した場合、将来の譲渡所得の計算上、特別控除や課税の繰延べ規定が適用される特例が創設されました。
今から約8年前の改正ですので、記憶が薄れている方も多いかと思いますが、特例の対象となる方が散見されてきましたので、本コラムにて「平成21、22年に土地等を取得した方が不動産を売却した場合」の特例についてご説明させて頂きます。
制度の概要
平成21年度の税制改正により土地需要を喚起するという趣旨で次の二つの制度が創設されました。
一つ目の制度が「1,000万円特別控除」で、二つ目の制度が「先行取得等をした場合の譲渡所得の特例」です。いずれの制度も平成21年及び平成22年に土地等を取得することが要件となっていますが、次の表のような相違点があります。
1,000万円控除 | 先行取得等をした場合の譲渡所得の特例 | |
適用対象者 | 個人 | 個人事業主 |
取得した土地の用途 | 問わない | 問わない(棚卸資産を除く) |
特例対象となる譲渡する土地 | 平成21年及び平成22年に取得した土地 | 事業用の土地 |
譲渡する時期 | 取得した日から5年を経過して譲渡する必要あり※1 | 取得した日の属する年の12月31日から10年以内に譲渡する必要あり |
特例の内容 | 1,000万円特別控除 | 譲渡利益の80%(又は60%)の課税の繰延べ |
※1 厳密には、譲渡をした日の属する年の1月1日時点において所有期間が5年を超えている必要があります。
1,000万円特別控除
概要
個人の方が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等(土地又は土地の上に存する権利を含む)を取得し、その取得した土地を5年超保有(※1)した後に譲渡した場合には、譲渡所得の金額から1,000万円が控除されます。
※1 厳密には、譲渡をした日の属する年の1月1日時点において所有期間が5年を超えている必要があります。
適用対象外となる「土地の取得」
その個人の配偶者や親子など特別の関係がある方からの取得や、相続・遺贈・贈与・交換による取得は、この特例の適用対象外となります。
先行取得等をした場合の譲渡所得の特例
概要
不動産所得、事業所得、山林所得が発生する業務を行う個人事業主の方が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等(棚卸資産に該当するものは除かれます)を取得し、その取得をした日の属する年の12月31日から10年以内に、その個人事業主の方が所有していた他の事業用の土地等を譲渡した場合は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡益の80%(又は60%)に相当する金額が控除され、課税の繰延べをすることが出来ます。
適用要件
土地等を取得した日の属する年の翌年3月15日までに一定の届出書を納税地の所轄税務署に提出している事
※つまり、平成21年取得分は平成22年3月15日までに、平成22年取得分は平成23年3月15日までに提出する必要があります。
適用対象外となる「土地の取得」
その個人の配偶者や親子など特別の関係がある方からの取得や、相続・遺贈・贈与・交換による取得は、この特例の適用対象外となります。
イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
執筆日:平成29年2月27日
※上記コラムの内容は執筆日現在の法令に基づいて記載されたものですので、その後の改正等により法律が変更されることがありますので、ご注意下さい。