経営コラム

相続税申告を自分で行う場合の注意点

相続税申告は自分で行うこともできます。自分で申告すると税理士報酬がかからないので、節約したい方には安心です。しかし本当に自分で申告することがメリットになるのでしょうか?ここでは相続税申告を自分で行う方法と、それに伴うリスクについて解説しています。自分で相続税申告をしようか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

相続税申告とは何か

相続税が発生し、その額が基礎控除よりも上回る場合に申告が必要になります。かつては「相続税を支払うのはお金がある人」と言われてきましたが、基礎控除額が4割引き下がったことで、近年は一般家庭でも相続税が発生するケースが増えています。また、相続税がゼロでも申告が必要な場合もありますので、注意が必要です。

不要になるケース

相続税申告は、基礎控除額が遺産総額よりも多い場合に科されます。よって、基礎控除額が下回ると相続税は発生しないため、申告義務がなくなります。それ以外では、生命保険や死亡退職金などの非課税枠を利用した場合や、相続税控除の特例を利用した場合などが挙げられます。どちらも相続税がゼロになるからですが、遺産を取得していない場合も当然ですが申告は不要になるでしょう。

これらを満たさない限りは基本的に相続税の申告は必要ですので、期限内に忘れず申告するようにしてください。

相続税申告を自分で行うことができるのか

相続税申告は、自分で行う場合と税理士など専門家に依頼する場合の主に2パターンあります。ここではそれぞれの申告方法について紹介します。

自分で申告する場合

少しでも節約したい場合などは、自分で申告すると税理士報酬がかからないので安心です。ただ財産内容や特例の有無によって、申告書の作成が難しくなります。リスクが大きくなると判断した場合は、専門家に依頼したほうがスムーズに申告できるでしょう。たとえば遺産に土地がない場合や、遺産総額が5,000万円以下の場合が挙げられます。特に後者はリスクが大きくなるので、自分で申告する場合は注意が必要です。

申告の流れは、
・相続人確定
・相続財産評価と財産目録作成
・遺産分割協議書作成
・相続税申告書と手引き
・遺産分割協議書と相続税申告書の作成
・必要書類を用意
・税務署に申告書を提出

用意すべき必要書類

相続税申告にはいくつかの書類を用意しなければいけません。それぞれの書類は準備するのに時間がかかるものもあるため、早めに用意しておくと安心です。また、下記の書類以外に別途必要になる書類もありますので、小規模宅地等の特例を利用する場合は確認しておきましょう。

・被相続人の戸籍謄本
・全相続人の戸籍謄本
・全相続人の住民票
・法定相続人全員の印鑑証明
・遺産分割協議書のコピー

専門家に依頼する場合

できれば自分で申告したほうが余分な金額を支払わなくて済みますが、遺産の中に複数の土地がある場合や、土地の評価額が高い場合は税理士に依頼しなければいけません。他にも遺産総額が高額(1億円以上など)も、専門家に依頼したほうが安全でしょう。ただこれらのケースは一般家庭ではほとんどないので、あまり気にする必要はないかもしれません。

自分で相続税申告すべきか専門家に依頼すべきか悩んでいる場合は、特例や控除などを確認してみましょう。相談だけ専門家を利用するのもおすすめです。

自分で相続税申告を行うときの注意点

相続税申告は自分でも行えますが、いくつか注意しなければいけない点があります。事前に知っておくと安心して申告の手続きができるでしょう。ここでは自分で申告した場合の注意点を紹介します。

気をつけるべき点

相続税申告には多くの書類があります。自分で申告する場合は当然すべて準備しなければいけませんから、うっかり忘れてしまうと大変です。どの書類が必要で、どこで発行してもらえるのかしっかり確認しておく必要があるでしょう。また、亡くなった人の財産をすべて把握するのも簡単ではありません。申告漏れがあるときちんと申告されないので気をつけてください。

他にも相続税評価が難しかったり、税務調査に対応できないなどの難点もあります。特に前者はハードルが高く複雑です。多くの相続税を支払ってしまう危険性もあるでしょう。

できれば専門家に依頼したほうが安心

相続税申告は自分でも行えますが、知識がないとどうしても大変です。せっかくの申告が無駄になってしまわないように、できれば税理士などの専門家に依頼したほうが安心でしょう。相談のみなら無料でできるところもありますから、自分で申告する場合もぜひ利用してみてください。