地積規模の大きな宅地
こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水と申します。今回のコラムでは「地積規模の大きな宅地」についてご説明させて頂きます。
平成30年1月1日以後発生相続分から、500㎡(三大都市圏以外では1,000㎡)以上の一定の要件を満たす土地の評価については、旧財産評価基本通達24-4に定められていた広大地の規定を適用することができなくなり、代わりに新たに創設された「地積規模の大きな宅地」という規定を適用して評価することになりました。
本コラムでは、この500㎡以上の宅地に適用される場合がある「地積規模の大きな宅地」についてご説明させて頂きます。
通達創設の経緯
平成30年1月1日より前に発生した相続では、500㎡以上の宅地の評価は、旧財産評価基本通達24-4に定められていた広大地の規定が適用できるかを検討することになっていました。しかしながら、この広大地の規定の適用要件が非常に曖昧であり、適用可否について、納税者サイドと課税庁サイドで意見の食い違いが多かったこと、土地の形状や道路付けにかかわらず、面積に連動して減額率が決まることなどから、広大地規定そのものが問題視されておりました。
そこで、それらの問題を是正するために財産評価基本通達が改正され、新たに「地積規模の大きな宅地」の規定が創設され、平成30年1月1日以降発生の相続から、500㎡以上の宅地については、その規定の適用要件を満たしているか検討の上、評価を行うことになりました。
地積規模の大きな宅地
適用要件
次の要件の全てに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地に該当します。ただし、適用要件を満たしていたとしても後述の「該当しないケース」のいずれかに該当する場合は、地積規模の大きな宅地には該当しないということになります。
- 地積が500㎡以上(三大都市圏以外の地域は1,000㎡以上)ある宅地
- その宅地の所在する地域が、普通商業・併用住宅地区又は普通住宅地区であること
- 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)未満の地域に所在する宅地
該当しないケース
次のいずれかに該当する宅地については、地積規模の大きな宅地には該当しません。
- 市街化調整区域に所在する宅地
- 大規模工場用地に所在する宅地
- 用途地域が工業専用地域に所在する宅地
注意事項
容積率
容積率は、指定容積率と基準容積率の二つの容積率がありますが、地積規模の大きな宅地の適用要件とされている容積率は、「指定容積率」を用いて判定を行います。従って、前面道路の幅員にかかわらず、用途地域図に記載されている容積率の数値をもって判定を行います。
正面路線
二方の道路に面し、各々の道路の路線地区が異なる場合の地区の判定は、正面路線の地区をもって、地積規模の大きな宅地の適用要件を満たしているかどうかの判定を行います。なお、正面路線の判定は、各々の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した後の金額の大きい方が正面路線となります。
イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
執筆日:平成30年11月15日
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