配偶者に自宅不動産を贈与した場合

配偶者に自宅不動産を贈与した場合

こんにちは。西東京市で相続・不動産税務専門の税理士事務所を開業しております税理士の清水です。今回のコラムでは、「配偶者に自宅不動産を贈与した場合」についてご説明致します。

婚姻期間が20年以上ある夫婦間で行われる自宅不動産等の贈与は、2,000万円まで贈与税が課税されないという特例制度があり、世間一般では、「おしどり贈与特例」などと呼ばれております。本コラムでは、このおしどり贈与特例について、制度の概要、適用要件、贈与をした年に相続が発生した場合等についてご説明させて頂きます。

原則的な取扱い        

配偶者から自宅不動産の贈与を受けた場合、原則的な取扱いは、年間110万円を超える部分に対して、贈与税が課税されます。
詳しくは、4-1土地・建物の贈与を受けた場合のコラムをご参照下さい。

婚姻期間20年以上の夫婦間での贈与は2,000万円まで非課税 

制度の概要

婚姻期間が20年以上ある配偶者から、自宅不動産や自宅不動産を購入するための金銭の贈与を受けた場合には、2,000万円(厳密には、基礎控除の110万円を加算した2,110万円)まで贈与税が課税されないという特例です。この特例を「贈与税の配偶者控除」といいます。

適用要件

  1. 婚姻期間が20年以上ある夫婦間の贈与であること ※
  2. 贈与財産は国内にある自宅不動産又は自宅不動産を購入するための金銭であること
    ※ 婚姻期間が20年以上であるかどうかの判定は、婚姻の届出をした日から贈与があった日までの期間により計算します。なお、19年10カ月など1年未満の端数があるときは、その端数は切捨てられますので、贈与をするタイミングについては注意が必要です。

添付書類

  1. 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
  2. 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  3. 贈与を受けた者が取得した自宅不動産の所有権移転登記後の登記事項証明書や贈与契約書等で、当該自宅不動産を取得したことが確認できる書類 ※
    ※ 平成28年1月1日以後、贈与により取得する場合、添付書類として提出する登記事項証明書は、所有権移転登記後であることが明確にされている為、贈与の所有権移転登記がされていない登記事項証明書は添付書類として不備がある書類という事になる為、注意が必要になります。

贈与をした年に贈与者が死亡した場合 

通常通り贈与税の配偶者控除の特例を受けることが出来、また贈与を受けた自宅不動産等を相続財産に加算して相続税を計算する必要はありません。
相続発生年に受けた贈与財産の原則的な取扱いは、その贈与を受けた方が相続により財産を取得する場合は、その贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算することとなります。よって、相続発生年度の贈与財産は、他の相続財産と同じように相続税の課税対象となります。
ただし、贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合には、相続財産への足し戻しは不要となりますので、贈与をした年に贈与者である配偶者が死亡したとしてもこの特例適用への影響はありません。

 

イナリ税理士事務所では、西東京市のみならず、近隣地域からのご相談を積極的にお受けしておりますので、相続・不動産税務、中小企業の税務会計に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

執筆日:平成29年2月6日
※上記コラムの内容は執筆日現在の法令に基づいて記載されたものですので、その後の改正等により法律が変更されることがありますので、ご注意下さい。

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